リモートワークを踏まえて Feedforce Engineer’s Principles を更新しました
1年前に「エンジニア行動指針を作った話」でも書いたとおり、勤務先の株式会社フィードフォースでエンジニア行動指針「Engineer’s Principles」を作った。
しかし、この1年が激動の1年でエンジニアはリモートワーク主体になったこともあり、社会情勢の変化も踏まえて大幅にアップデートすることになったのでご紹介したい。
なお、この記事は feedforce Advent Calendar 2020 24 日目に向けて書いていたものの、枠を譲ったために外れたものになる。
当初集まりが悪かったので2枠取ったのだが、1枠目は小ネタにしたのが個人的には失敗だった。
Table of Contents
2020年版 Engineer’s Principles
見直した結果の Engineer’s Principles は以下となった。
- Stay Humble; 常に謙虚であるべし
チームメンバーと自分は異なった立場や文脈、背景を持っているうえ、自分と向いている方向が同じとは限らないが、顧客への価値を最大化するという目標は共有している。相手の立場と理解を尊重して慎重に行動する一方、自分へのフィードバックには常に客観的であるようつとめよう。 - Be Positive & Proactive; 常に肯定的・主体的であるべし
受け身であること、否定的に捉えることは誰でもできる。チームのパフォーマンス、そして顧客への価値を最大化するため、次に何をできるか、よりよくするためにさらに何ができるかを常に考え、自ら行動しよう。 - Be Prepared; 常に来たるべき機会に備えるべし
自らを生かす機会はいつ来るか分からない。何を求められているかを把握した上で来るべき機会に備えて能力を高め、爪を研いでおこう。機会は爪を研いでいる者にのみ訪れる。 - Share All; 己の知見、試行、失敗、遍く共有すべし
己の学んだ知見の価値を決めるのは己ではなく、その知見に接する者全てである。共有する前に己でその価値を過小評価せず、何を学んだか、何をどのようにやってみたか、どう失敗したか、遍く、そして根気よく共有し続けよう。 - Just Do It; 全力でやりきるべし
たとえ高邁な理想を持っていたとしても、実現できなければ砂上の楼閣に過ぎない。やりきるために全力を尽くそう。
なぜ見直しか
自己開示・自走力
そもそも不磨の大典などないとは思っているので、定期的に見直しは必要とは感じている。それに加えて、コロナ禍を受けたリモートワーク主体の働き方への意向を受けて、以下のような問題が表面化してきた。
- より自律性・自走力が求められるようになってきた。
- 自己開示がさらに重要になった。
以前はこれらがなくても「物理的にそこに存在していた」が、リモートワーク下ではチームに埋没して存在が文字通り消滅してしまう。
また、何かしらの課題を抱えていたとしても、会社またはチームがそのことに気づけず、結果として何のアウトプットも出せないといったことに繋がりかねない。
個々人が見通せる範囲
また、これに加えて、リモートワーク下で個々人が見通せる範囲が格段に狭くなったと感じている。
オフィスに物理的に出社していた場合、オフィスがワンフロアであることもあって、所属するチームに加えて他のチームの雰囲気を何となく肌で感じることもあったし、雑談する機会もあった。
リモートワークに移行すると、こういった肌感が皆無になってしまう。チームを超えた雑談にしても意識しないとその機会すらなく、下手をするとチーム内でもこうったコミュニケーションの機会がなくなってしまう。
結果として、個々人が見通せる範囲が「頻繁に一緒に仕事をする数人」に閉じてしまいがちになる。もちろん短期的にはこれで成果が出るのだが、個人のスキルアップしかり、セクショナリズムのリスクしかり、見通せる範囲を極力広げるというのは必須だと思っていた。
どのようにアップデートしたのか
アップデートプロセス
前回と同じく、今回もチームをセットアップし、@pokotyamu をファシリテーターとして議論を重ねた上でのアップデートとなった。
ただ前回と異なるのは、自分がスタートするのが遅すぎたこともあり、1ヶ月しか時間をかけられなかったこと。これは本当に反省している。
そのため、前回は技術チーム全体に中間報告およびワークの機会があったが、(議事録は公開していたものの)今回は完全にアップデートチームの中での議論となった。
アップデート内容
そもそもとして、そこに含まれている底意は実はそこまで変わっていない。全体的に、以下のような思いもあって変更した。
- “Stay Humble” と “Be Positive & Proactive” は残す。
- “Broaden Yourself” と “Prepare Yourself” はコンセプトが似ていることもあり、統合して一つに。
- “Share Everything” は学んだ知識・提案に加えてそれまでのプロセスも含めるという意味で小変更。
- 「やりきる」ことに言及できていなかったので改めて言及。
「やりきる」については、社内で改めて「『やりきるかどうか』『やりきれるかどうか』というのを問いかけた方がいい」という点に脚光が当たったこともあり、それを加えたというのがある。
もちろん、”Just Do It” にしたのは NIKE および下の動画からインスピレーションを受けているのは言うまでもない。
まさにこの通りで、まずはやってみて、そこから学ぶなり修正するなりすればいいと考えている。(自戒を込めて)
社内に紹介する際のスライドで敢えて木にしたのは、
- “Stay Humble” と “Be Positive & Proactive” は「チームの土壌」となるもの。これがないとそもそも何も始まらない。
- “Be Prepared” と “Share All” はチームプレイで成果を出すに当たって、「成果を生み出すための木」。これがなければ成果に結びつかない。
- “Just Do It” は成果そのものを生み出すもの。
という想いがあり、ここだけは個人先行で資料化して発表した。
スケジュールとしてタイトではあったが、この1年で上がってきた課題感に対して非常にマッチした Principles になったと思っている。
議論に参加していただいた @pokotyamu, @masutaka, @gen, @tmd45, @ikuming193 にはこの場をお借りしてお礼を申し上げたい。