【悲報】Facebook Graph API 経由でのユーザ投稿が廃止になる件【激震】
CA 問題に関連して、ユーザとして Facebook に投稿するために必要なパーミッション publish_actions
が廃止されることになった。これによって Facebook でのレイバンスパムはなくなるが、一方で廃止までの期間が限られることもあり、ベンダーには激震が走るだろう。
Table of Contents
変更概要
日本時間 4 月 25 日 (水) 未明に公開された "New Facebook Platform Product Changes and Policy Updates" によると、今回、以下変更が加わることになった。
Facebook ログイン
Facebook ユーザとして投稿が可能となる権限 publish_actions
が廃止となる。publish_actions
取得には Facebook 側審査が必要となるが、今日以降、審査に提出できない。すでに承認されているものについては、8/1 までは有効となる。
引き続きシェア UI をサイトなりネイティブアプリに実装する場合、自前のフォームではなく Facebook が提供しているダイアログで実装する必要がある。
Instagram Graph API
自分自身の投稿についたコメントについて、投稿者の名前とプロフィールが取得できなくなる。ユーザ名とコメントについては引き続き取得可能。
Facebook Events API
イベントへの返信が API 経由でできなくなった。これは即日廃止となる。
Facebook Analytics
8 月 1 日以降、以下が廃止となる。
app_event
軸analytics_app_events_exports
エンドポイント
Live API
8 月 1 日以降、Live API における publish_actions
は認定パートナーのみ提供となる。その関係で、認定パートナーであっても再度審査が入ることになる。
また、Real-time Messaging Protocol (RTMP) が 2019 年 5 月 1 日で廃止となる。
Pages API
以下が変更・廃止となる。
- 開発モードの場合、Facebook app × Facebook ページ軸で、時間 200 回の呼び出し制限がかかる。呼び出し回数については、Facebook app のダッシュボードで確認できる。
- Pages API については、app-scoped ID (ASID) から page-scoped ID (PSID) に切り替わる。移行期間は 6 ヶ月。
manage_page
パーミッションがタグ付け時に必要となる。- 開発モードの Facebook app の場合、Facebook app の権限欄に登録されているユーザのみ個人情報の取得が可能となる。
page/photos?type=tagged
エンドポイントが廃止となる。- サードパーティ製のアプリ経由の性別および言語によるターゲティングについては、即日廃止となる。年齢制限については、上限が廃止され、下限については、13, 17, 18, 19, 21 歳のみ指定可能となる。
Places Graph
/photos?type=tagged
については即日廃止となる。
メッセンジャー
8 月 1 日以降、Messenger Expressions SDK が廃止となる。
Device-integrated API
(省略)
影響範囲
一般ユーザ視点から
今回の変更で一般ユーザからしたメリットとしては、なんと言っても「レイバンスパム」がほぼ根絶されることだろう。これは、ユーザ本人が知らない間に偽ブランドに関する宣伝がタグ付けされた状態で投稿される問題で、Facebook に登録したメールアドレスとパスワードの組み合わせがクラックされていなくても、例えば診断サイトで Facebook ログインしてしばらくしたら投稿されていたりした。
8 月 1 日以降、おそらくこの問題は激減するだろうし、仮に発生した場合、そのユーザのパスワードが漏洩しているということになる。
ブロガーの場合、ブログ投稿を Facebook に自動通知させられなくなるという意味では影響はある。だが、手動投稿すれば済む話なのでそんなに大きな問題ではない。
Hootsuite など、投稿管理ツールで個人のアカウントを管理している場合は影響が出る。ただ、個人的には Twitter と Facebook ではユーザ層が違うこともあって別投稿にすべきだと思っている。
ベンダ視点から
一方で Facebook 上でのマーケティングツールを提供しているベンダからすると、Facebook への投稿およびその投稿のリーチ計測などを提供している場合、それらの機能の提供が不可能になるということでもある。
よくある例としては、キャンペーンサイトで応募完了時点でシェアフォームがあり、そこから Facebook と Twitter に投稿させてどれくらいの流入があるかを計測するといった例がこれに該当する。これによりインフルエンサーを特定して次の施策につなげる、キャンペーン効果を応募数以外の数値で見たりするのに有効だったが、Facebook に限って言えばそれが不可能になった。
ただし、この手法は Twitter ではまだ有効である。シェアのリーチという意味で見れば Facebook よりも Twitter のほうが遙かに高いし、流入という意味では LINE のほうがさらに上なので、そういう意味では広告主から見たインパクトはそこまでではないだろう。ただ、サービスベンダからすると、約 3 ヶ月という限られた時間で対応工数が必要になるという意味ではインパクトが大きい。
広告視点から
広告視点では今回の変更の影響はないが、一方で Pages API のターゲティングに新しく性別・年齢制限が加わったことが気になる。これまで広告側で例えば学歴・職歴ターゲティングができなくなったりしたが、Pages API の変更に続いて広告側でも年齢制限可能な範囲に変更が入る可能性はある。
いずれ来るかもと思いつつ、このタイミングでこの移行期間の短さで publish_actions
の廃止を入れてくるとは思わなかった。Facebook 自体、Instant Articles に象徴されるように Facebook にすべての情報が流れ落ちてくるのではなく Facebook から流れ出るという情報の流れの向きを替えようとしている節はあったものの、publish_actions
廃止までにはもう少しかかるだろうと甘く見ていたと言わざるを得ない。
一方で、ランディングページの拡散という意味では、もはや Facebook ではなく LINE または Twitter というのが日本での主流だろう。そういう意味では、もちろんベンダーは苦労するとはいえ、全体の影響範囲はそこまで大きくないと考えている。
個人的には、NewsPicks は流入のかなりを Facebook 経由に頼っているかと思っていて、NewsPicks がどう対応していくかに注目したい。