Instagram Day Tokyo 2018 に行ってきた件
1 ヶ月前の Facebook Global Partner Summit 2018 に続き、渋谷ヒカリエで開催された Instagram Day Tokyo 2018 に行ってきた。個人的には、Facebook のイベントで非英語圏で開催されたイベントは今回が初めてだった。
だいたいは Twitter で実況した気もするので、tweets を引用しつつ何があったか書いておきたい。
Table of Contents
メディアとしてのポテンシャル
Instagram のユーザベースの躍進
まず最初に説明があったのは、Instagram の MAU (月間アクティブユーザ数) が 2,900 万ユーザを超えたということ。
また、MAU の増加率も
1 年で 900 万人増と、これまでにないスピードで伸びているとのことだった。
また、Instagram というとどうしても女性が多めと思われがちだが、実際は
Instagram の MAU は 2,900 万、半分近くは男性でおっさんも普通に使っている。おっさんも使っているってところは割と伝えたそうな感じw #igdaytokyo pic.twitter.com/yTkc3ZgY3N
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
4 割近くが男性で、意外に男性、特に中年男性にも刺さるというところが強調されていた。
ハッシュタグ
Instagram を使っていると、フォローしているアカウントにもよるが、ハッシュタグがついている投稿を目にしない日はないと思う。そこの実感についてもデータが示された。
フォーマット
GPS でも結構触れられていたが、モバイルシフトがほぼ完了したのにともない、ビデオを中心としてクリエイティブは縦前提にすべきというのが強調されていたと言っていい。少し前だと YouTube を中心に横長ビデオが多かったが、Instagram Stories の普及に伴い、ビデオは縦フォーマットが中心になっていくだろう。
メルカリ x リクルート パネルディスカッション
自分の中で一番刺さったのは、やはりここだった。
「ゼクシィとかが Instagram に合うと思っていたらリクルートエージェントが刺さった」これはやってて思う。「これにはこれは刺さらないでしょ」(またはその逆)という変な思い込みは本当に機会損失に繋がる。 #igdaytokyo
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
色々な場所で言われるが、どのクリエイティブがいいか、どの広告が刺さるかを先入観で判断すると本当に機会損失になると思う。実際に高速に A/B テストをすることで先入観ではなくデータで判断できるようにしたほうがいいと改めて感じさせられた。
また、実際に運用型広告をやっていると、せっかくプラットフォーム側から内々に新しいフォーマットのβを紹介されても予算が取れずに試せないことがある。そういう意味でも、メルカリの
「新しい広告フォーマットに対する予算は常に開けている」ほんまこれやで…… #IGDAYTOKYO
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
は非常に重要だと思う。
ここのテーマはひとえにここだろう。
この最適化のために必要なデータ、ターゲティング、クリエイティブって話、FB/IGだけでなくGoogleなどすべてのプラットフォームに共通していると思う。 #igdaytokyo pic.twitter.com/rO9KMLpH9R
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
Google しかり Criteo しかりで、別に Facebook に限ったことではない。
- Pixel は入れられるだけ入れる。送信可能なデータはすべて送る。
- ターゲティングはプラットフォームに合わせた最適なものにする。下手に細かくターゲティングしてそれぞれの予算上限を縛って結果的にインプレッションを削ってしまうのは問題外。
- 最適なクリエイティブ
この 3 点はすべての広告に共通だと思った。
Pixel + app events
Facebook Pixel のインストールは場合によっては結構面倒なので、「最低限だけ設置すればいいか」といった感じになってしまいがちではある。だがしかし、実際は
これほんまあるある。pageview も含めて全部入れておくとブロード配信などでもアッパーファネルにも効率的に配信できるようになる。 #igdaytokyo pic.twitter.com/ix345cIiwO
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
すべてのページに設置するのが望ましい。ブロード配信についてはこの場では言及されてなかったが、今後の展開を考えておくとすべてのページに入れておくべきだろう。
また、ネイティブアプリ側にも同じようにイベントを設置すべきではあるが、
ありがちなのは、アプリインストールとコンバージョン獲得で予算が違っていて(ry みたいなパターン。背景は理解できるが…… #igdaytokyo pic.twitter.com/GuKjzWbp0E
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
tweet にも書いたように、アプリインストールとコンバージョン獲得で担当者が違っているなどの理由で別予算になっていて非効率になるパターンが多い。ネイティブアプリも運用している場合、例えば
- エンドユーザがアプリをインストールしてそれ以降はサイトに来ず、アプリでしかアクションしなくなった
- アプリに移行したもののこっそり職場の PC でもみている
といった様々なパターンがある。やはり、送信できるだけすべてのイベントを送信できるよう、Web, アプリ同時に改修すべきと思う。
ターゲティング
最近は減ってきたが、今でもよくあるパターンは
- Facebook, Instagram で予算が違うので広告セットを分ける
- PC / モバイルで予算が違うので広告セットを分ける
といった理由で広告セットを細かく分けるケースだろう。これの一番の問題点は、やはり広告セットを分けすぎて各広告セット単位でみると十分なインプレッションが出ない、つまりコンバージョンも出ないということにある。Facebook の場合、
プレゼンテーションにもあったとおり、1 広告セットあたり最低でも 1 日 15 コンバージョンは上がらないと機械学習が進まない。そのため、いつまで経っても配信が最適化されないという問題がある。
十分なコンバージョンさえあれば、最近発表されたコンバージョン予算最適化を使えば広告セットを細かく分けていてもインプレッションの問題は若干軽減される。だがしかし、あくまでも予算が再配分されるだけで、最適化という意味では劣ってしまうので、極力避けるべきだろう。
クリエイティブ
正直、個人的には Dynamic Ads にしかフォーカスしていないこともあってクリエイティブはそこまで興味がなかった。が、このデータは結構面白いものだったと思う。
13年で脳の処理速度は10倍に向上した。画像処理速度はさらにそれより2倍以上速い。 #igdaytokyo pic.twitter.com/z1MQx1MArT
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
2001 年には脳内の情報処理にかかる時間が 0.3 秒だったのが、13 年後の 2014 年には 0.03 秒まで短縮されたらしい。これが進化なのか省力化なのかは分からないが、さらに驚きなのは、画像処理速度に限ると 0.013 秒だということ。つまり、画像のインパクトが先に来るということを意味する。
そして
Instagram だと数字を入れるとタイムラインで違和感が出るのではないかと危惧しがちだが数字を見せるのが重要。そしてビジュアルとメッセージは揃える必要がある。脳幹で感じるビジュアルと前頭葉で感じるメッセージが揃っていないと違和感を感じるってところか。 #igdaytokyo pic.twitter.com/CzCVqVlbmc
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
ベネフィットはちゃんと数字で伝えるべきとのことだった。
正直なところ、このセッションをみるまでは Instagram に出す広告クリエイティブはインスタ映えするもの、つまり数字がゴテゴテ書かれていない観念的なものが刺さるという先入観があった。だがしかし、実際に試してみると、
適切なメッセージ・ベネフィットを加えることでコンバージョンが向上するとのことだった。ここの例は Dynamic Ads ではなくカルーセルだとは思うが、現在標準で提供されているオーバーレイではない形で画像最適化というのが重要になってくると感じた。
効果計測
最後のセッションの前半で一番大きいのは、やはりラストクリックからの脱却ということだろう。自分自身、4 年近く前から布教していてようやく最近日本でも語られるようになってきたと感じている。
ラストクリックでしか見ないのはダメだというずっと言われ続けてある話。実際、初回接触からコンバージョンまでには7〜8回ほどの接触が必要という話も。 #igdaytokyo pic.twitter.com/p3WhPfhqeW
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
Twitter で書いた 7 touches の話は実際にはここでは挙げられてはおらず自分が追加したものだが、実際、マス広告も含めて 7 〜 8 回の広告接触がないと購入には至らないらしい。ラストクリックのインパクトを過大評価することで投資判断を失敗しているのは実に残念な話である。
このセッションで合わせて触れられていたのは、
自分の場合、どうしてもリタゲがメインになりがちな Dynamic Ads にフォーカスしていることもあって、adtech でも触れられていたインクリメンタリティはそこまで意識していなかった。ブロード配信も手がけてはいるのである程度は意識するものの、1コンバージョンあたりの価値をそこまで差別化してみていなかったと思う。そういう意味では非常に新鮮だった。
最後に、脱ラストクリックで数年前に導入された lift API についての実例が紹介されていた。コンバージョンリフトについてはやろうやろうと思うものの、設計をちゃんとしないと機会損失が無視できないものになってしまうこともあってなかなかできないままで来てしまっていた。そういう意味では
この数字は本当に面白い。ただ、リフト調査は機会損失もあるので気をつける必要がある。 #igdaytokyo pic.twitter.com/yrzyKzkfNP
— Kenta ONISHI (@meihong) 2018年11月1日
このデータは視覚的にも非常に分かりやすいものだと思う。
一般的な Facebook / Instagram 広告に関する知識は日々自分でもアップデートしているし GPS にも行くのでキャッチアップできていると自負しているが、グローバル寄りの GPS と異なり国内の事例が紹介されることもあって非常に新鮮だった。
また、どちらかというと代理店やアドテクパートナーが中心になりがちな GPS と異なり、広告主が多く招待される Instagram Day Tokyo は様々なギャップを埋める非常にいい機会だと思う。