Facebook Global Partner Summit 2017 に行ってきた
勤務先はまだ Facebook Marketing Partner になっていなかったりするが、10 月頭にサンフランシスコで開催された GPS こと Facebook Global Partner Summit 2017 に行ってきた。
Table of Contents
方向性
すでに 3 週間近く経過して速報的なものはすでに出ていると思うので大きな流れをサマライズしておくと
- Facebook 広告としてはより SMB に注力
- ダイナミック広告は好調。業界向けも旅行、不動産につづいて自動車系にも展開。
- ビデオ広告。モバイルに向けてより短く。
- Dynamic Creative のリリース。クリエイティブ組み合わせテストの自動化。
会場
今回の会場は 2 年前の Fisherman’s Warf と Golden Gate Bridge の間くらいにある Palace of Fine Arts だった。去年までは午後のブレイクアウトセッションが 3 つに別れていたが、今年は 2 つになっていて若干縮小された感がある。去年は会場が狭かったのもあるとは思うが、もう少し熱気があった。
概要
SMB
去年までは SMB という話はたまに出てきたものの、ほぼ出てこなかった。最近は SMB がスマートフォンのみで運用する Facebook 広告で成功している例があるらしく、実際に何社か例示されていた。
とはいえ、SMB にフォーカスするのは、ある程度エンタープライズは開拓しきってしまって、今後は SMB に注力せざるを得ないという問題もあると思う。
エンタープライズは数が少ない割に出稿額が大きいのでコストがかからないが、SMB はどうしてもコスト感が上がってしまう。その辺をパートナーを使って上手くやっていきたいといったところだろうか。
ビデオ広告
Facebook タイムラインでのビデオ広告は「3 秒無音で刺さる」動画がいいというのは周知の通りだが、モバイルシフトがほぼ完了した今、タイムラインの動画を見てもらうためには動画広告そのものは「軽く」する必要があるらしい。また、特に Instagram Stories などはそうだが、横長ではなく縦長にすべきなど、この辺の知見は年々蓄積されている印象があった。
Dynamic Creative
技術的に今年一番のアピールポイントはやはり Dynamic Creative だろう。これは、広告クリエイティブ、Facebook の場合は投稿メッセージや写真などをフィードで入稿しておき、すべての組み合わせをテストしてどの組み合わせが一番刺さるかを Facebook が自動で見つけてくれるものになる。どのクリエイティブがどれくらい刺さったかは具体的に Business Manager で参照できるらしい。
ただし、ブレイクアウトセッションで質問に上がったが、この機能は Dynamic Ads では使えない。Facebook としては、Dynamic Ads ではカルーセル部分を最適化しているのでそれで十分といった考えだと思われる。
この機能は、スケジュールベースのトリガー機能も含めてパートナーがこれまで手がけてきたであろう「Facebook が提供しなかった」売りの機能を犯すものだと言える。これに限らず Facebook はパートナーが各自のサービスで培ってきた機能が広く使えそうならどんどん取り込んできたので、今後も
- Facebook が取り込まないであろうニッチな機能
- Google など他媒体との統合管理
- 広告外の、例えばフルフィルメントも含めた垂直統合ソリューション
などにフォーカスしていく必要がある。実際、3 つめはサミットでも触れられていた。
感想など
自動化のさらなる促進
今回行って思ったのは、広告配信に対してより大胆に機械学習・自動化を導入していこうとしているという点だろう。Dynamic Creative はその最たるものだし、
昨年末あたりから力を入れている配信面の自動最適化もそうだろう。数年前だと Facebook タイムライン / Facebook 右側広告スペース / Instagram / Facebook Audience Network といった配信面ごとに広告セットを分割したりしていたが、今ではここは分割せずに Facebook に一任した方が広告効果が上がるようになっている。これもその結果だろう。
フィード広告の一般化
これまでフィード広告というと Criteo がメインで、Facebook ではダイナミック広告を実施する際にのみ必要な面倒くさい作業だというイメージがどうしてもあった。大きめの代理店の運用・営業担当でも、フィード案件と聞いただけで尻込みして放置してしまうケースは多々あると思う。だがしかし、これまではキャンバス広告の中にこっそりとあった要素がコレクション広告としてブランディング広告に活用できるようになってきた。
コレクション広告自体、βではあるがライフスタイルフォーマットが追加されてより広く使えるようになってきている。また、同等のメニューが Instagram でも提供されるに至り、もはや「フィードがよく分からないから」という理由だけで避けていた時代は終わったとも言える。
また、ダイナミック広告自体も、日本ではダイナミック広告の配信が多い不動産向けのフォーマットが出てきたのにも明らかなとおり、業界ごとにより細かなフォーマット、最適化が行われることになる。不動産向けダイナミック広告用のフィードは Google Product Feed の流用ではなくより高度な XML ベースのものとなるが、今の流れを見ても「よく分からない」「面倒だから」という理由でダイナミック広告は避け続けられないだろう。
ブロード配信
また、特に何かプレゼンテーションされたわけではないが、ここ数年 Frequency & Reach 以外に新規ユーザを獲得する際に利用されていた類似拡張配信も、今年正式リリースされたブロード配信にシフトしていきそうな雰囲気がある。
正式リリース前は当然色々あったブロード配信も大分こなれてきたらしく、今後は自信をもってそちらに寄せていくのだろう。ただ、業種によっては十分にイベントがたまっていない可能性もあるので、この場合は今まで通り CRM を利用して作成したオーディエンスやコンバージョン済みユーザを種とした類似拡張配信も有効ではあると思う。
最後に
自分でも結構分かっているつもりではあるものの、Global Partner Summit は毎回発見が大きいイベントだと思う。前後含めると最低でも 3 泊 5 日と結構時間と費用はかかるが、Facebook 広告で食っている身としては新しい知識を仕入れつつ既存の知識を加えて整理できるいい機会だと思った。