Maker Faire Tokyo 2018 でインスパイアされて安い 3D プリンタを買った件
先日、東京ビッグサイトで開催された Maker Faire Tokyo 2018 に行ってきた。個人的には特に何も考えずに見て回ろうとぼんやり考えて行ったのだが、そこで感じたのは 3D プリンタの普及だった。
3D プリンタの普及こそが個人が実用的なハードウェアを作りやすくなった一番のきっかけのように感じ、ぼんやりと買ってみようと思ったが、MFT2018 に出展していたのは Original Prusa i3 MK3 や Anycubic i3 Mega 3D など、衝動買いするには若干躊躇する価格だった。
Table of Contents
3D プリンタを買うまで
構造
3D プリンタを買うか迷いつつ、3D プリンタについて全く知らなかったのでまずは何を買うべきかざっくり調べてみた。
Wikipedia曰く、3D プリンタにはいくつかの形式がある。が、実際に手が届く程度の値段で買えるのは
- FDM (Fused Deposition Modeling; 熱溶解積層) 法
- 光造形法
の 2 パターンになる。最も普及しているのは FDM 方式で、RepRap プロジェクトのおかげでオープンソースハードウェアとして普及しているようだった。さらに FDM 方式でもヘッドをどう駆動するかで通常のインクジェットプリンタのような方式とデルタ型といわれる 2 パターンがあるが、実際に普及しているのは制御が簡単な前者っぽい。
何を買うべきか
ここまでで大体どういうモデルを買うべきかは分かったが、あとは実際にどの機種を買うかになる。Amazon をいろいろ徘徊しつつみてみたが、このタイプはチェコの Josef Průša が最初に設計した Prusa i3 シリーズの系譜を引くものがほとんどらしい。系譜と言えば聞こえはいいが、ほとんどは中国製の劣化モデルのようだった。
ただ、3D プリンタは自身の部品をプリントアウトして改良できること、ファームウェアも Arduino なので自分でも手を入れられることから、最低限の機能といえる
- ノズル温度がなるべく高くなるもの
- ホットベッド対応
を持つ最も安いものを購入することにした。
ここまで決めたものの、FMT2018 でがっつり営業された Anycubic i3 Mega 3D に後ろ髪を引かれつつ Amazon を徘徊していたところ、ALUNAR M508 がタイムセールで 5,000 円オフになっていた。というわけで、まずは
- 3D プリンタがどんなものか
- 何ができるのか
- それがあることでどう変わるのか
- 一方で使えないリスクもあるのではないか
等色々鑑みて ALUNAR M508 を買うことにした。
組み立て
追加で必要なもの
ALUNAR M508 は組み立てキットになっているので、到着後は同梱の SD カードに保存されている組み立てビデオを観ながら組み立てる必要がある。道具等は一通りついてはいるが、直角が重要になるのでスコヤはあった方がいいかと思う。また、X 軸が Z 軸に対して正確に直角になっている必要がある。そのため、自分はデジタルノギスで高さを測って直角を取った。
また、ググると色々言われているが、M3 ワッシャーは必須なので同時に買っておいた方がいい。自分の場合は後から買ったが、組み立て後にワッシャーをつけようとすると数時間コースになる。
気をつける点
大体は SD カードに保存されているビデオで間に合うかと思う。PDF でも組み立て説明書が入ってはいるが、実はこれはバージョンが古いのかかなり不正確なので、あまり参照しない方がいい。
また、Z 軸を電動で動かすためには、前述の通り X 軸に対して Z 軸が直角になっている必要がある。直角を取るためには色々やり方はあると思うが、自分の場合は Z 軸 2 本の長さをデジタルノギスで測ってほぼ同じ長さになるように Z 軸を回して調整した。
また、Z 軸のネジ山に対しては、ロードバイクのチェーンルブを塗布した。チェーンルブも色々あってこだわりがある人はこだわりがある。自分も FINISH LINE の赤いほうを使っているが、今回は忙しいときに使う WAKO’S のチェーンルブを軽く吹いておいた。
駆動ベルトのテンション
おそらく一番気を遣うのは、駆動ベルトのテンションだと思う。3D プリンタが完成すればテンション調整の部品も作れるが、完成前はそうはいかない。説明はないもののテンション調整用のスプリングも入っているが、スプリング自体のテンションがかなり高く、設置するには結構力が必要かと思う。
自分の場合、X 軸は力業でなんとかしたが、Y 軸はいったん Y 軸方向が短めになるように組み立て、ベルトをはめてから Y 軸方向を伸ばす、というより元の位置に戻してテンションを高めにした。この方法が割と簡単にかつテンションを強くできるので最初の組み立てにはおすすめしておきたい。
レベリング
最後に、Z 軸のキャリブレーションを行う。具体的には、ノズルの先とヒートベッドの隙間が 0.1mm 程度になるようにする。やり方はマニュアルに載ってはいるが、4 点で A4 用紙 (= 厚さ 0.1mm) が抵抗しつつ入るように調整するのはなかなか難しい。最初は「これでいい」と思ったところがまだもう少し詰めた方がいいというケースがほとんどなので、ここはテストプリントしつつ詰めていけばいいかと思う。
プリンタの改良
プリントアウトできるようになったら、Thingiverse にアップされている M508 用のパーツを製造してそちらに置き換える。自分が置き換えたのは、
の 2 点。前者は実は使わない方がいいという話もあるが、「言っても 2 万円だし……」ということで何も考えずに交換した。なお、608ZZ ベアリングが 2 個必要になるが、ベアリング用の穴が結構タイトなので、ハンマーでしばく必要がある。また、ネジ山のないシャフトの穴も結構タイトなので、こちらもハンマーで優しくしばいて奥まではめ込んだ。
調整さえちゃんとやれば、それなりに綺麗な造形物が出力できる。
また、改造すればオートレベリングも可能と、色々遊べそうに感じている。しばらくはこれでも遊んでみようと思っている。