Facebook Graph API v2.12 リリースと同時に製品カタログに権限が導入された件


今日未明、Facebook Graph API v2.12 がリリースされた

概要

Graph API のアップデートという意味では、今回はそんなに大きくないと思う。ChangeLog を見た限りでは

  • Page topic を変更した際に呼ばれる Webhook で渡されるデータのうち、一部の構造が変更された。
  • イベントとグループの一部エッジを取得する際に管理権限を持つアクセストークンが必要になった。
  • イベントについて、is_viewer_admincan_viewer_post フィールドが廃止。
  • ページのメトリクスで一部変更。
  • ページに投稿したビデオについて、権限がなければ source フィールドが返らなくなった。

ぐらいだろうか。

Marketing API

今回一番大きかったのは、Marketing API のバージョンが上がらなかったこと。Marketing API のバージョニングが導入されて以降は常に Graph API と同一タイミングでバージョニングされていたが、ここがついに分かれることになった。

とはいえ、Marketing API は Graph API よりも細かいタイミングでアップデートされていて Gentoo Linux のようにローリングリリースっぽくなっており、事実上、バージョンの意味がなくなってきているのも事実ではある。そういう意味では、バージョンというただの数字が増えなくても驚きはない。

製品カタログ周りの仕様変更

とはいえ全く仕様が変わったわけではない。

ほぼ同時に Ad News に投稿された "Implications of Graph API 2.12 Release" によれば、2018 年 5 月 8 日以降、製品カタログの読み書きについて権限を厳格にするということらしい。

現在でも製品カタログに対してビジネスマネージャのユーザをアサインすることはできるが、特に権限がなくてもビジネスマネージャのユーザでさえあれば製品カタログの新規作成、設定変更や設定の確認、製品カタログに含まれる製品を閲覧することができた。これが 2018 年 5 月 8 日以降は以下のようになる。

  • Catalog Admin 権限を持つユーザだけが製品カタログの新規作成および設定変更が可能。ビジネスマネージャの Admin ユーザはカタログの読み出しは可能。
  • Catalog Advertiser 権限を持つユーザはカタログの設定変更はできないが、自分が所属するビジネスマネージャ以下の製品カタログであれば読み書きできる。
  • Catalog Admin および Catalog Advertiser 権限を持っているユーザだけがカタログから読み出せる。

ここで気をつけないといけないのは、ビジネスマネージャの Admin / Advertiser 権限とは別にカタログに Catalog Admin / Catalog Advertiser 権限が導入されるという点に尽きる。

ドキュメントを直訳するとわかりにくいが、今後、例えば自社のビジネスマネージャで製品カタログを作成・運用し、別のビジネスマネージャに紐付いたユーザ (= だいたいは社外のユーザと考えれば分かりやすい) に対してその製品カタログへ Catalog Advertiser 権限を振れば製品カタログだけ貸し出すことが可能となる。

今までは製品カタログを貸し出すためだけに自社ビジネスマネージャに他社ユーザを紐付けるとすべての製品カタログが見えていたが、今後は権限を持っているアカウントだけが見えるようになる。

フィードベンダの立場から考えると……

これまではフィードベンダがフィードを含んだ URL のみを広告代理店に提供し、広告代理店はそれを元に製品カタログを自社ビジネスマネージャにセットアップしていた。フィードベンダからするとフィードの URL を提供するだけなので、逆に言えば自社の成果物が Facebook 向けには正しく生成できていない、Facebook からの読み出しに失敗しているといった問題を検知するすべは全くなかったといえる。

しかし、5 月 8 日以降はフィードベンダ側で製品カタログをセットアップし、それを広告代理店に権限委譲することで、単純にフィードの提供を超えて製品カタログそのもののマネジメントサービスを提供できるということでもある。今までは

こうだったのが

となるわけで、フィードベンダとしては一歩進んだサービス提供およびマネージメントフィーのアップが可能になるとも言えるのではないだろうか。