Facebook 広告で「差別的な」ターゲティングができなくなってきた件
去年以降、Facebook 広告でいわゆる「差別的な」ターゲティングができなくなってきている。
今年初めはポリシーへの同意が求められる程度だったが、年末あたりから徐々に「差別的」と判定された広告が強制的に停止されるようになってきた。
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背景
欧米では
日本だとあまり馴染みはないが、海外、特に欧米では人種や身分差別に非常に厳しい社会になってきている。例えば転職市場でも家族構成や人種、親の職業、性別などでスクリーニングすることは絶対に許されない。そもそもいわゆる CV (履歴書) に誕生日や家族構成、最近では性別すら書くことが少なくなってきている。
広告ポリシー
これを受けて、Facebook では広告ポリシーの一環として、不動産や採用などの人材関連、信用調査といった差別が起きやすいカテゴリについては差別的な行為を禁止するようになった。
Policy
Ads must not discriminate or encourage discrimination against people based on personal attributes such as race, ethnicity, color, national origin, religion, age, sex, sexual orientation, gender identity, family status, disability, medical or genetic condition.
何が起きるか
年末以降、順次該当すると思われる広告について、
あなたの広告を詳しく審査させていただいた結果、Facebookの広告ポリシーに従っていないと判断いたしました。
この広告は広告ポリシーに従うよう編集されるまでアクティブでなくなります。
以下の広告名をクリックして承認されなかった理由を確認して広告を編集できます。
のメッセージとともに広告が強制的に停止される。この場合、ターゲティングを変更して「差別的でない」ように変更する必要がある。
強制停止は突然来るので、自前の監視システムがない場合はこまめに運用状況を確認しておいた方がいいかと思う。
止められるケースの例
ここでいう「差別的な」ターゲティングとは、日本社会で過ごしていると意外に分かりづらいものだったりするので、気づかないうちに設定していることが多いと思う。
- 性別: 人材業界の場合、ここは理解が広まってきているのではないだろうか?
- 年齢
- 家族構成: シングル、子持ちなどで制限するといったケース
- 宗教
成果へのインパクトとまとめ
日本だと欧米ほどダイバーシティが進んでいないこともあってなかなか肌で体感しづらいところはあるが、欧米では人種差別が根深いこともあって、思った以上にこれらにセンシティブになっている。
日本人の感覚だと納得がいかないこともあるだろう。ターゲティングを「緩く」することで広告成果への悪影響を心配するかと思うが、長期的に見ればそこまで影響は出ないと思う。
もちろんターゲティング変更直後のインパクトは否定できないが、コンバージョン最適化または ROAS 最適化にしている場合、よりコンバージョンしそうなユーザ、またはより高い商品に対してコンバージョンしそうなユーザに対して広告を出すように Facebook が内部的に最適化していくことになる。そのため、長期的に見れば最適化されたユーザ集合にのみ広告が表示されることになる。
そもそも日本でも例えば求人広告で性別指定を表立って書けないようになってきていることもあり、そのことも考えると必要以上に成果へのインパクトを心配する必要はない。